屋根の形状について
日本建築は、軒を深く出すことに特徴があります。深い軒が雨や日差しを遮り、壁や建物本体を保護しています。近年、軒の浅い建物も増えてきましたが、軒の深さによって建物の劣化状態も変わるので、屋根の形状や軒の形・出寸法に注意が必要です。
〇屋根形状は、シンプルなものにする。
〇棟や谷が多く屋根の形状が複雑だと、施工が難しく雨漏りの原因になりやすいです。
〇屋根勾配も重要なポイントです。
1.切り妻(きりづま)
中心の棟から両側に屋根が流れるシンプルな形状です。
〇勾配屋根の最も基本的な形状です。
〇長辺方向を桁行方向、短辺方向を梁間方向と呼びます。
〇短辺の外壁面を妻面と呼びます。
〇妻側のはね出し部分をけらばと呼びます。
〇吹上げにも注意が必要です。
2.寄せ棟(よせむね)
軒先が水平で、それぞれの軒先から中央に屋根が登っていく形状です。
〇妻側にも勾配が付いている屋根形状である。
〇切妻屋根よりも雨仕舞が良いです。
3.入母屋(いりもや)
寄せ棟の上部が切り妻になっている複合的な形状の屋根です。
〇伝統的な住宅に多いです。(醍醐寺金堂・仁和寺金堂・東寺金堂)
4.陸屋根(りくやね)
フラットな屋根で水が流れにくいため、防水をしっかりと行う必要があります。
〇勾配がない平らな屋根です。
〇屋上を利用できるメリットがありますが、雨仕舞いが難しいというデメリットもあります。
5.方形(ほうぎょう)
〇平面形状が正方形の寄棟屋根です。
〇頂部に部材が集中してしまいます。
6.片流れ(かたながれ)
〇勾配を一方向のみにもつ屋根です。
〇ロフトを設ける場合などに適しています。
7.屋根の勾配
現在の木造住宅では切り妻や寄せ棟がほとんどです。屋根は雨水を処理するために適切な勾配を設ける必要があります。
屋根勾配は水平1尺に対して高さが何寸になるのかで示します。また、必要な勾配は屋根材の種類にとって異なります。
みなさんの屋根はどの屋根でしたか?
それぞれの屋根の形状で長所や短所がございますので、今お住まいの屋根の特徴を覚えて頂ければありがたいです。