外壁塗装の種類で知っておきたい1つ目は塗料についてです。
また、外壁塗装で使用される塗料の主成分はいずれも合成樹脂で、そこに含まれる物質によって仕上がりの見た目や耐久性が変わってきます。
外壁塗装の塗料の種類を知るために、以下の4つの種類から見てみましょう。
塗料の種類 | 特徴 |
こんな人におすすめ |
アクリル系塗料 | 軽量で色をくっきりみせる効果がある塗料です。コスト面で最も優れていますが、紫外線に弱く、耐用年数が短めです。 | こまめに塗り替えをして気分転換をしたい方や、リーズナブルに塗り替えしたい。 |
ウレタン系塗料 | アクリル系塗料に比べて、防水性と耐水性に優れた塗料です。比較的安価で、バランスがとれています。用途の範囲が広く、戸建住宅を中心に幅広い建物で使用される塗料です。密着性にも優れており、塗装の剥がれが気になる箇所に使えます。 | 比較的低予算で済ませたい方や、塗料の剥がれが気になる箇所がある。 |
シリコン系塗料 | ウレタン系に比べて、耐久性と耐候性、仕上がりの良さに優れた上質な塗料です。弾性にも優れているので塗膜の下で小さなひび割れができても、防水性を損ないません。耐用年数が長く、コストパフォーマンスの良い塗料で、現在もっとも人気です。 | コストパフォーマンスの良い上質な塗料を選びたい。 |
フッ素系塗料 | 耐久性、耐候性、撥水性に優れていますが、一方で汚れやすいというデメリットもある塗料です。美しい光沢もありますが、価格がもっとも高いので、一般住宅にはそれほど普及していません。 | 急こう配の屋根や大きな面積のため、足場を設置する費用がかかってしまう場合や、長い目で見たときに、価格が安い塗料にしたい。 |
以下の比較表はさきほど説明した代表的な塗料に加えて、費用が高かったりして選ばれにくいのですが質の高い塗料も含めて比較していきます。
外壁塗料 | 耐用年数 | 平米単価相場 |
アクリル系塗料 | 4~7年 | 1,000~1,200円 |
|
||
ウレタン系塗料 | 6~10年 | 1,800~2,000円 |
|
||
シリコン系塗料 | 8~15年 | 2,500~3,500円 |
|
||
ラジカル系塗料 | 8~15年 | 2,500~3,500円 |
|
||
ピュアアクリル塗料 | 12~15年 | 3,500~4,500円 |
|
||
フッ素系塗料 | 15~20年 | 3,500~4,500円 |
|
||
セラミック塗料 | 10~15年 | 5,000~5,500円 |
|
||
光触媒塗料 | 10~15年 | 5,000~5,500円 |
|
||
遮熱系塗料 | 15~20年 | 5,000~5,500円 |
|
このように、外壁塗装には様々な種類の塗料が存在していて、一つ一つ特徴があります。希望する塗装が実現できる塗料を選ぶことで、理想の外壁塗装に一歩近づきます。
塗料を選ぶ際には、目的に合った塗料を選ぶことが大切です。
同じ素材の塗料でも、メーカーによって塗料の特徴は異なる為、選ぶ塗料によって塗り替えサイクルも変わり、どの塗料がベストな選択かを考える必要があります。
塗装業者から最善の提案を引き出すためには、目的や優先順位をしっかりと伝えることが大事です。塗装を依頼する前に次のポイントについて整理しておきましょう。
予算 | いくらまで出せますか? |
塗装の範囲 | 屋根や雨戸、雨樋なども塗りますか? |
付加機能 | 遮熱、断熱、防水、光触媒機能などは必要ですか? |
色 | どんな色調の外壁にしますか? |
修繕箇所 | 特に気になっている個所はありますか? |
メンテナンス期間 | 耐久年数はどれくらいを期待しますか? |
条件を塗装業者に伝える場合
希望の条件が決まり、複数社に見積もりをしてもらう際は、どの業者に対しても同じ条件で伝えないといけません。相見積もりは同じ条件でこそ生きるものです。必ず同じ条件で伝えることを覚えておいてほしいです。
もし迷ったらシリコン塗料がおススメです
塗料の種類の中で、一番人気なのがシリコン系塗料です。価格と耐久性のバランスが良く、コストパフォーマンスに優れています。
現在、外壁塗装工事をされる多くの方に選ばれていますが、ひとくちにシリコン系塗料といっても次のような種類があり、仕上がりも異なります。
水性1液型 | 耐久性や密着性は油性と比べると劣り、ホームセンターなどで売られている水性塗料と同等品です。大手メーカーがおもに使っている塗料で、扱いやすく環境への負担が少ないという特徴があります。 |
溶剤(油性)1液型 | 水性塗料より耐久性が高く、現在主流となっている塗料です。一般的な塗装店でもっとも使われています。ホームセンターなどで売られている油性塗料と同等品です。 |
溶剤(油性)2液型 | 使用する際に、硬化剤を混ぜる必要があります。耐久性、密着性ともに水溶1液型、溶剤1液型よりもはるかに優れている塗料です。塗装のプロが使用する一級品といえます。 |
外壁だけでなく、雨樋や雨戸などの付帯部分にいたるまで、すべての個所に質が高い溶剤2液型を使用すると、すばらしい仕上がりとなります。
しかし、溶剤2液型は硬化剤を混ぜるという手間がかかるので、外壁だけに溶剤2液型を使い、付帯部分には溶剤1液型を用いる業者も多くあります。こういった現状も認識したうえで、細かいところまで目を配る必要があります。
機能とともにこだわりたいのが、住まいの美観やイメージを大きく左右するカラーです。ここでは、色の基本知識や見え方の違いなど、塗料のカラーを選ぶ前に知っておいて頂きたいことについてご説明します。
色の三属性
「色」は色相・彩度・明度の3つから成り立っており、色味や濃淡、明暗によって見た目の印象が変わってきます。
色相 | 赤・黄・青などの色の違いです。暖色系だと大きく見えるので存在感が増し、寒色系だと存在感が薄まります。 |
彩度 | 色の鮮やかさの違いです。彩度の低い色は地味で落ち着いた印象を演出します。彩度の高い色は、外壁塗装ではあまり用いられません。 |
明度 | 色の明るさの違いです。明度が高いと軽やかで大きく見え、明度が低いと重くどっしりとした印象になります。 |
色の「対比」について
「色見本で選んだカラーが、実際に塗装した後のイメージと違っていた」ということがよくあります。これは、建物の周りの背景や近くの建物の色の影響を受けて、色の見え方が異なることが原因です。このような現象を色の「対比」といい、主に次の3つがあります。
色相対比 | 背景の色などが影響して、本来の色と違って見えることです。同系統の色だと、背景に近づいた色に見える為、外壁の色が目立たなくなります。 |
彩度対比 | 背景や近隣の建物の色の彩度が低いと、相対的に外壁が鮮やかに見えます。すなわち背景より彩度が高いカラーを選ぶと、外壁を色鮮やかに見せることができます。 |
明度対比 | 背景や近隣の建物の色の明度が低いと、外壁が本来とは異なる明るさに見えます。逆に背景などの色が明るいと、外壁本来の明るさで見えます。 |
カラー選びのポイント
サンプルや色見本に比べて、実際塗装する外壁は広範囲になります。このため、見本よりもカラーの印象が強くなり、カラーを選んだ時のイメージと違うということが結構あります。カラーを選ぶ時点では、彩度と明度のトーンをワンランク落として考えると良いでしょう。
住まいの色は、外壁のメインカラーと、屋根、雨戸などのサブカラーから成り立っています。このツートンカラーの組み合わせで住まい全体の印象が作られるのです。色相や彩度、明度を合わせると統一感が高くなり、あえて別の色を選ぶとサブカラーの印象を際立たせます。
また、つや無し塗料を選択することによって、塗り替えをしてもあまり変わり映えせず、満足のいく仕上がりにならないこともあります。
塗り替えの際の色選びでは、「好みの色ではなかった」というよりも「景観に合わない」「デザインに合わない」という失敗の方が多いのです。「好み」よりも周囲やデザインと合っているかどうかを重視すると良いでしょう。
尚、実際に外壁に塗った時にイメージが違うことで、トラブルが発生することもあります。業者に試し塗を見せてもらうことで、トラブルを回避するようにしましょう。