塗装前の下地処理は、塗料の密着性や耐久性を左右する重要な工程です。
その中でもケレン作業は、古い塗膜や錆、汚れなどを除去し、塗料がしっかり付着できる状態にするために欠かせません。
今回は、ケレンの種類、素材別のケレン方法、そして仕上がりの基準について解説します。
ケレンの種類と適切な使い分け
ワイヤーブラシケレン:錆落としに最適な道具と使い方
ワイヤーブラシケレンは、鋼鉄製のブラシを用いて錆や塗膜を落とす方法です。
様々な形状のブラシがあり、使用するブラシの硬さやワイヤーの太さによって、除去できる汚れの程度が異なります。
細かい部分の錆落としには、細いワイヤーブラシが適しています。
一方、広範囲の錆落としには、電動式のワイヤーブラシを使用することで、効率的に作業を進めることができます。
ただし、ワイヤーブラシケレンは、繊細な表面の素材には傷をつける可能性があるため、注意が必要です。
作業後は、ブラシに残った錆や塗膜を取り除き、清掃する必要があります。
また、作業時は保護メガネと手袋を着用し、粉塵の吸入にも注意しましょう。
サンドブラストケレン:頑固な汚れを落とす効果的な方法
サンドブラストケレンは、圧縮空気で砂などの研磨材を高速で吹き付け、頑固な汚れや錆を除去する方法です。
比較的広い面積に均一にケレンを行うことができ、強固な塗膜や錆を効率的に除去できるため、鉄骨構造物などの塗装下地処理に最適です。
しかし、周囲への影響が大きく、作業環境の確保が重要です。
飛散防止対策として、作業場を囲い込んだり、防護壁を設置する必要があります。
また、研磨材の種類や圧力、吹き付け距離を調整することで、ケレンの程度を調整できますが、熟練の技術が必要になります。
作業後には、残った研磨材を完全に除去する必要があります。
ディスクサンダーケレン:広範囲の錆や塗膜剥離に最適
ディスクサンダーケレンは、回転する研磨ディスクを用いて、広範囲の錆や塗膜を効率的に除去する方法です。
比較的大きな面積のケレン作業に適しており、作業速度も速いため、生産性が高いのが特徴です。
ただし、ディスクサンダーは強力な研磨力を持つため、素材へのダメージや、ケレンの程度を均一に保つことが難しい場合があります。
そのため、操作には熟練の技術と注意が必要です。
手工具ケレン:細かい部分の錆落としに最適な方法
手工具ケレンは、スクレーパーやハンマー、ワイヤーブラシなどの手工具を用いて、錆や塗膜を除去する方法です。
細かい部分や複雑な形状の箇所のケレンに適しており、素材へのダメージを最小限に抑えることができます。
しかし、作業効率が低く、広範囲のケレンには不向きです。
作業時は、ケレンの程度を常に確認しながら、丁寧に作業を進める必要があります。
素材別のケレン方法と仕上がりの基準は?
鉄部塗装の下地処理:ケレンと錆止め塗料の選び方
鉄部は錆びやすい素材であるため、ケレン作業は特に重要です。
錆を完全に除去し、錆止め塗料を適切に選択することが、塗装の耐久性を高めるために不可欠です。
ケレン方法は、錆の程度に応じて、ワイヤーブラシケレン、サンドブラストケレン、ディスクサンダーケレンなどから適切な方法を選択します。
錆止め塗料は、使用する塗料の種類や環境条件に合わせて選択する必要があります。
木部塗装の下地処理:古い塗膜や汚れを落とすケレンの方法
木部のケレンは、古い塗膜や汚れ、カビなどを除去することが目的です。
使用するケレン方法は、素材の硬さや汚れの程度に応じて、スクレーパーやワイヤーブラシなどを選択します。
ただし、木部は傷つきやすい素材であるため、ケレン作業は慎重に行う必要があります。
必要に応じてサンディングを行い、表面を滑らかに仕上げます。
モルタルコンクリート塗装の下地処理:高圧洗浄機を使った効果的な洗浄方法
モルタルやコンクリートのケレンは、高圧洗浄機を用いて汚れや浮きモルタルを除去するのが効果的です。
高圧洗浄機を使用する際は、洗浄圧力やノズルの種類を適切に選択することが重要です。
また、洗浄後には、十分に乾燥させる必要があります。
まとめ
今回は、ケレンの種類、素材別のケレン方法、そして仕上がりの基準について解説しました。
ケレン作業は、塗装の仕上がりと耐久性を左右する重要な工程です。
それぞれの素材や状況に最適なケレン方法を選択し、適切なケレンの程度を確保することで、高品質な塗装を実現することができます。
作業を行う際には、安全に配慮し、必要に応じて保護具を着用するなど、安全対策を十分に行いましょう。
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